ページ上へ

よくある借り換え失敗パターン【こんなケースは要注意!】

事業を行う場合、損得だけではなく今後の付き合いも考えた多角的な視点が何よりも重要です。基本的な失敗パターンをはじめ、考えられるリスクについてあらかじめ確認しておきましょう。

借り換えの注意点

金利や支払総額が下がる”というメリットばかりに目が行きがちなローンの借り換えですが、実は一歩間違えると不動産投資そのものに大きな悪影響を与えてしまいます。
まずは失敗パターンや注意点を知っておきましょう。

よくある失敗パターン

借り換えには様々なパターンがあり、条件はそれぞれ大きく異なります。当項目では「実際の事例」を基に、失敗に陥ってしまうケースについて解説したいと思います。

失敗例①金利は下がったが…

残債額2,000万円・期間残り20年のケース

借り換え前 借り換え後
金利 2.5%(固定期間残1.5年) 1.8%(変動)
返済方法 元金均等 元利均等
違約金 - 残存期間×2.0%
諸費用 - 20万円(1%)
最終的な返済額 25,020,734 24,630,241

金利は2.5%⇒1.8%と大きく下落しておりますが、借り換え後の契約が「元利均等返済」ということで支払総額が膨らんでしまっている印象です。
さらに、固定期間が2年残っていたため違約金として60万円(2,000万円×2.0%*1.5年分)及び諸費用20万円(借り換える額の1%)が別途かかりますので、最終的な返済額は合計で「24,630,241円」となる計算になります。

結果だけ見れば390,493円安くなってはいますが、借り換え前の銀行との付き合いが切れてしまうことや要する手間等を考えると“成功”とは言い難い結果ではないでしょうか。

失敗例②違約金で損をしてしまった

残債額3,000万円・期間残り15年のケース

現在 借り換え後
金利 2.0%(固定期間残1.5年) 1.2%(変動)
返済方法 元利均等 元利均等
違約金 - 残存期間×2.0%
諸費用 - 30万円(1%)
最終的な返済額 34,749,375 34,536,112

固定期間が2年残っており、違約金が多く掛かってしまったケースです。
通常の計算ですと最終的な返済額は「33,036,112円」ですが、固定金利の期間が2年間残っており、残債の2.0%×2年分である120万円が違約金として掛かってしまいます。
したがって、諸費用を含めると返済額は「34,536,112円」となり、圧縮できたのは213,263円に留まります。
固定⇒変動ということで返済も不安定になってしまい、今後の金利変動如何ではマイナス域に転ぶ可能性も十分に考えられます。

失敗例③金利変動による差異

残債額2,500万円・期間残り15年のケース

現在 借り換え後
金利 2.0%(固定期間残1.5年) 借り換え時1.5%(変動)
⇒1年後1.8%
返済方法 元利均等 元利均等
違約金 - -
諸費用 - 20万円(1%)
最終的な返済額 28,957,787 28,664,904

変動金利は日本国債の長期金利を基準に決定しておりますので、当然ながら上昇する可能性が十分にあります。
上記は借り換え時には1.5%だったが1年後に1.8%にまで上昇してしまったケースですが、支払総額は1年目に1,862,220円・2~15年目に26,602,684円という計算になり、諸費用を含めますと最終的に「28,664,904円」を支払うことになります。
これでも292,883円安くはなりますが、今後の変動如何では損をする可能性が十分にありますので、予め“金利を見極めること”が何よりも重要です。
無難なのは1.5~1.8%の固定金利を選択することですが、固定でこの条件が出るのはメガバンク又は余程の信頼がある方に限定されてしまうでしょう。

その他気を付けたいこと

借り換えに失敗しますと、具体的な損失が出るだけでなく「見えない損害」や「リスク」を被る可能性があります。
不動産を事業として扱っている場合、以下2点は特に懸念すべき重要項目です。

キャッシュフロー
キャッシュフローに行き詰まる男性

例えば、返済方法が「元利均等」から「元金均等」に変わった場合、最終的な返済額は下がりますが、月々の返済額は上がります。
こちらを得と取るか損と取るかは利用者の判断になりますが、修繕費の積み立てや予期せぬトラブルに対応するため、キャッシュは多く残すに越したことはありません。
月々の支払がアップしたことでキャッシュフローが停滞してしまい、破綻を招いてしまう可能性は十分に考えられます。

今後の付き合い
アパートローンの支払いを計算して借り換えを検討する

地元密着型である「地方銀行」や「信用金庫」は、時にメガバンク以上の条件で貸し出しを行います。
タイミングや利用者の信用状況にもよりますが、地元の不動産を用いて投資を行っている方や複数の不動産を所有している方であれば特に好条件を引き出しやすいです。
最終的に複数物件を展開したいと考えている、メガバンク以上の条件を狙っているというケースであれば地元の金融機関は絶対に無下にしない方が良いでしょう。

決して“地方銀行や信用金庫はメガバンクの下”という訳ではないのです。
今後の付き合いをしっかりと見定めた上で借り換えを行うかの最終決定を下すことを強くお奨め致します。