ここまで金利が変わるのは何故?~ローン別特徴を徹底解説
各種ローン性質の違い
住宅ローン・アパートローン・プロパーローン…
金融機関では多くのローン商品を取り扱っておりますが、これらはどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの違いや特徴、性質、条件等について分かりやすく解説いたします
使途による分類
「何にお金を使うのか」は、金融機関に取って非常に大きな判断要素です。
使途が広いということは、その分好きなものを買ったりギャンブルに使えてしまえたりと、使い過ぎてしまう可能性が大きくなるためです。
そこで、一般的には使途を限定して貸出を行う「目的別ローン」を用意し、目的外使用については罰則を用意する等で対応しています。
- 目的別ローンの例
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住宅ローン、マイカーローン、教育ローン、ブライダルローン、リフォームローン
目的別ローンの特徴
前述した通り「お金の使い途が限定されている」という点が他の借入とは異なります。
また、目的別ローンは目的のためにまとまったお金を借りてその後金融機関に返済していく形になりますので、目的が達成するまでは返済を続けていかねばならないという制約が課される点も通常借入とは大きく異なる点ではないでしょうか。
言い換えれば当該目的は「人質」のようなもので、例えば住宅の購入資金のためにローンを組んだ場合、毎月の支払を怠ってしまうと目的である住宅は金融機関に取り上げられてしまいます。(抵当権の実行)
そのため、目的別ローンは債務不履行に陥る危険性が通常借入に比べて低くなっており、金利もそれに合わせて低く設定されているのです。
目的外使用は実際にバレる?
「それなら通常借入も目的別ローンで借りてしまった方がお得では?」
とお考えの方も当然いらっしゃるかと思います。
結論から申し上げますと、理論上は可能ではあります。
しかしながら、定められた使途を無視する行為は明らかな契約違反であり、契約解除・取消し・違約金発生等のリスクが伴う点には注意が必要です。
アパートローンには敢えて住宅ローンで購入し事業用として転用するといったテクニックもありますが、住宅の種類がファミリータイプに限定されてしまうというデメリットがあり実用性は低いでしょう。
住宅用と投資用ローンの違い
住宅ローン=金利が安い
投資用ローン(アパートローン)=金利が高い
というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
前述した通り、住宅ローンは目的が定められているのに対し、アパートローンは使途が定められていないため自由に使えるという点で大きく異なります。
金利が大きく変わる理由としては以下の「実需と仮需」「返済原資」の違いが挙げられます。
実需と仮需
実需とは、文字通り「実際の需要」のことをいいます。
代表的な例としては「住宅(家屋及び土地)」が挙げられ、実際に日々使用・消費するものとして最も大きな需要に該当します。
もちろん、住宅に限らず車・教育・その他日用品等も実需に該当すると言えるでしょう。
一方、仮需とはまだ発生していないものに対する投資的な要素を含む概念です。
株で信用取引を行う際にも「仮需」という言葉が用いられますが、事業に於いて物価の上昇や不足を予見して予め仕入れておく又は投機を行う際も当該文言が使われます。
実需は金銭を借り入れる事で“その物が使える”という確実な利益がありますが、仮需の場合は実際に使用するわけではないためその物が利益をもたらすとは限りません。
また、住宅は債務不履行があった場合にはその住宅を競売にかけることで弁済を受けることが可能ですが、仮需(信用)によって貸し出された場合には原則として物的担保が付されないため、金融機関は大きなリスクを背負っていることが分かります。
返済原資
返済原資とは、文字通りローンを返済するお金のことをいいます。
当たり前のことかと思われるかもしれませんが、将来発生するお金を頼りに借入を興すわけですから「原資の出所がどこなのか?」という点は審査の上で非常に重要な判断ポイントです。基本的には、
目的別ローン⇒自分の給与から返済
投資用ローン⇒事業の利益から返済
となるかと思われますが、金融機関は“返済される蓋然性(がいぜんせい)”を重点的に審査します。※蓋然性とは「確実性の度合」を意味します。
例えば、返済原資が給与であれば給与支払者の安定性(事業規模)が重要となり、公務員や一部上場企業・大企業等はより審査が通りやすくなります。
一方、事業の利益から利息や借入金を返済していくのであれば、借主である投資家又は企業の直近の資産状況・売上・利益等が重要となります。
審査に有利なのは?
「どちら(給与or売上)が審査に有利なのか」という点につきましては借主の勤め先や事業規模(企業の場合)にもよりますので、一概には言えません。
いずれも審査や金利に大きな影響を及ぼす可能性がありますので、ローンを組む際は返済原資の予定を立てた上で申し込む事を強くお奨め致します。
※詳しい計算方法は以下に記載があります。(事業用)
以上の理由から、住宅ローンの金利は安く、アパートローンの金利は高く設定せざるを得ないのです。
ただし、アパートローンは返済期間や金融機関の状況によっては「借り換え」によって大きく金利を下げることも可能です。
定期的に見直しを行い、無理のない返済プランを立てていくことが何よりも重要と言えるのではないでしょうか。